そのうさぎに会ったのは
散歩の途中の道端だった
騒々しい街角におかれた
人形の家にかくれてたんだ

どこで生まれたのか
どんなふうに生きてきたのか知らない
聞きもしなかったけど
名前はゆきだって

とてもべっぴんさんのうさぎだったよ
汚れた道やあぶない場所も
くぐりぬけてるはずなのに
なんだかとってもピュアな色で

最初はネコかと思ったのさ
のびをした背中がそっくりで
その曲線にぼくはべたぼれだったよね
踊りが好きで 気まぐれで 質問好きで

ぼくの知らないキラキラしたことをたくさん知っていて
ぼくが知ってることはうさぎにはガラクタで
いままでなにをしてたんだろうぼくはって
うさぎに出会って思ったよ

約束するけどすぐ忘れるちゃう
それにけっこう嘘つきかも
（しょうがないよね
ちいさないきものは身をまもらなきゃいけないから）

食い意地がはったうさぎでさ
ケーキ、スナック、クロワッサン・・・
肉、肉ってさわぐうさぎを
ぼくははじめてみたよ

寄り道をしてあいさつすると
いつも隠れ家から顔を出してくれたっけ
でももういなくなっていた
旅に出ちゃったらしい（そういえばそんなこといってたよね）

ゆきはね、うさぎだから羽をもってるのさ
ぼくには追いかけるすべがない
うさぎが旅に出てからぼくは
急にこの街がきらいになったのさ

たのしかったよ
たくさんしあわせがみつかるといいよね
ぼくはずいぶん
しあわせにしてもらったから

いつかメールくれるっていってたね
うさぎがくれるメールってどんなだろう
いったい何に書いてあるんだろう
どこからぼくに届くんだろう